【経営者向け】クレジットカードの後払い|資金繰り改善に活用する方法とは?

事業を運営していく上では、仕入れや人件費、運転資金など、さまざまな支払いが必要になります。しかし、収入のタイミングと支出のタイミングが合わないことがあることかと思います。このタイミングのズレによって、キャッシュフローが滞り、急な資金不足に陥ることは珍しくありません。
こうした資金繰り改善のための手段の一つとして、クレジットカード後払いの認知が高まっています。本記事では、クレジットカードの後払いの仕組みと、その活用方法についてご紹介します。
クレジットカード後払いとは?
クレジットカードの後払いとは、商品やサービスを購入しても、その場ですぐに支払うのではなく、後払いができる決済方法です。購入後、カード会社が一時的に支払いを立て替え、決済日まで支払いを先延ばしにすることができるため、支出を先送りして資金繰りを調整することが可能です。
クレジットカード後払いのメリット
クレジットカード後払いの主なメリットは以下の通りです。
- 支払い猶予期間で資金繰りを調整:短期的な支出を先送りし、収入が入るまでの間に資金を確保できる。
- 利息や手数料を避ける方法:一括払いを選択すれば、無利息で支払い猶予を得られることが多く、余計なコストをかけずに資金繰りを改善できます。ただし、分割払いやリボ払いを利用すると利息が発生するため、注意が必要です。
- 経費管理が簡単:クレジットカードを利用することで、利用明細書が経費記録として残るため、事業の支出管理が効率的に行えます。
複数のクレジットカードを使い分ける
1枚のクレジットカードだけに頼ると、利用限度額に達してしまい、必要な時にカードが使えなくなることもあります。そうした場合は、複数のクレジットカードを使い分けることで、資金繰りの柔軟性を高めることも可能です。
たとえば、大きな支出が予想される場合、限度額の大きいカードを利用し、支払い猶予期間を活用して資金を確保することが可能です。特に、毎月一定額の売上が見込まれている場合、この仕組みをうまく利用して、必要な時期に必要な支出をカバーできます。
また、複数のクレジットカードを持つことで、各カードの支払い期日をずらして使用することができます。たとえば、Aカードは月初に利用し、Bカードは月中に利用することで、それぞれの支払いを1か月以上先に延ばすことが可能です。
ただし、複数のカードを持つ場合、利用額を適切に把握することが大切です。各カードの利用状況を定期的にチェックし、支払い管理アプリなどを活用して全体の支出を把握するのがおすすめです。
クレジットカード後払いは資金繰り改善に活用できる
クレジットカードの後払い機能を効果的に活用することで、事業運営における資金繰りを改善することができます。支出のタイミングを調整したり、複数のカードを使い分けたりすることで、キャッシュフローの安定化を図ることが可能です。
たとえば、売上が月末に入金される場合でも、月初や中旬には支払いが必要なケースもあるかと思います。このような状況でクレジットカードを利用すれば、支払い期日を後にずらすことで、短期的な資金不足を回避しやすくなります。
具体的には、支払い猶予期間(通常30日程度)を利用して、即座に支払う必要がある経費や仕入れをクレジットカードで決済し、支払い期日を先送りすることで、キャッシュフローに余裕を持たせることができます。
無利息期間を賢く使う
クレジットカード後払いの最も大きな特長は、無利息で支払いを先送りできる猶予期間がある点です。特に、後払い期間内に支払いを完了すれば、利息や手数料がかからないため、賢く利用すれば資金繰りに役立つだけでなく、余計なコストを発生させずに済みます。
特に、毎月の固定費や定期的な支出に対してクレジットカードを活用し、無利息期間内に収入を見込んで支払いを行えば、事業運営がよりスムーズになります。
クレジットカードの後払い機能を効果的に活用することで、資金繰りの課題を柔軟に解決できるだけでなく、無利息で支出を先送りすることが可能です。支払い期日の調整や複数カードの使い分けを取り入れることで、キャッシュフローを効率的に管理し、経営の安定を図ることができます。
クレジットカード後払いを利用する際の注意点
クレジットカードの後払いは、資金繰りを調整するうえで非常に便利な機能ですが、適切に利用しなければ、手数料や利息の発生、過度な利用によるリスク、そして信用情報への悪影響など、思わぬトラブルを招くことがあります。ここでは、クレジットカード後払いを安全かつ効果的に利用するための注意点について解説します。
手数料や利息の発生
クレジットカードの後払いは、基本的には一括払いであれば無利息で支払いを先送りできる便利な仕組みです。しかし、後払いを利用する際に分割払いやリボ払いを選択すると、手数料や利息が発生する場合があります。これらの支払い方法は、短期的には月々の返済額を抑えることができるため一見便利ですが、長期的に見れば利息が加算されて最終的な支払額が増大するリスクがあります。
- 分割払い:クレジットカードの利用金額を複数回に分けて支払う形式。分割回数に応じて手数料が発生し、3回払い以上の場合には特に注意が必要です。
- リボ払い:毎月一定額の返済を行う仕組み。利便性は高いですが、支払額の一部が利息として計上されるため、元本の返済が遅れ、長期的には高額な利息を支払うことになる可能性があります。
これらの利息や手数料を避けるためには、できるだけ一括払いを利用することが望ましいです。一括払いであれば、猶予期間内に無利息での支払いが可能となり、資金繰りの調整に効果的です。
過度な利用に対するリスク
クレジットカードの後払い機能を頻繁に利用しすぎると、過剰な利用につながり、結果として返済が難しくなるリスクがあります。特に、カードの利用限度額に達してしまった場合、新たな支出に対応できなくなるだけでなく、返済が困難になる可能性も高まります。
- 利用限度を意識する:クレジットカードにはそれぞれ利用限度額が設定されています。限度額を超えた利用は不可能ですが、限度額に近づくと利用可能額が減少し、経営に必要な支払いに対応できなくなる恐れがあります。また、限度額に達すると、カードの利用が停止される場合もあります。
- 支出を定期的に見直す:過剰な利用を避けるためには、定期的に支出を見直し、クレジットカードの利用額を確認することが重要です。利用明細を定期的にチェックし、必要以上にカードを使わないよう心がけることが、健全な資金繰りの維持につながります。支出管理アプリや経費管理ツールを活用するのも効果的です。
信用情報への影響
クレジットカードの後払い機能を利用する際、支払い期日を守ることが非常に重要です。万が一支払いが遅れると、カード会社からの信用が失われ、結果として信用情報に悪影響を与える可能性があります。
- 支払い遅延のリスク:クレジットカードの支払いを遅延すると、カード会社は信用情報機関にその情報を報告します。この遅延情報が記録されると、今後の融資や他のクレジットカードの審査に影響を及ぼす可能性があります。また、遅延が長期間にわたると、利息や遅延損害金が発生し、返済負担がさらに大きくなります。
- 期日を守る重要性:信用情報を守るためには、クレジットカードの支払い期日をしっかりと守ることが重要です。支払い忘れを防ぐために、カードの利用日や支払い期日をカレンダーやリマインダーで管理し、口座残高を常に確認しておくことが賢明です。また、万が一支払いが難しい場合は、早めにカード会社に相談し、返済方法を調整することができます。
事業者はビジネスカードがおすすめ
ビジネスに活用するクレジットカードを選ぶ際には、ビジネスカードがおすすめです。ビジネスカードには、経費管理やポイント還元といった事業運営に役立つ特典も多数用意されています。
以下は、ビジネスカードの代表的な特典をご紹介します。
ポイント還元
多くのビジネスカードは、経費の支払いに応じてポイントが還元される仕組みが整っています。経営者や個人事業主は、仕入れや交通費など日々の支出で貯まったポイントを、将来的な支払いに利用することができるため、実質的にコストを削減することができます。
経費管理ツールの付属
経費の管理を簡便にするために、ビジネスカードには経費管理ツールが提供されていることが多いです。このツールを活用することで、カード利用の明細が自動的に整理され、経費の分類や月ごとの支出管理が効率的に行えます。特に、個人事業主や中小企業では、経理業務の負担を軽減できるため、大きなメリットとなります。
利用限度額が高い
一般的なクレジットカードに比べて、ビジネスカードは利用限度額が高く設定されていることが多く、大きな支出が必要な場面でも安心して利用することが可能です。これにより、急な経費の支払いにも対応しやすくなり、資金繰りが安定します。
まとめ
クレジットカード後払いを上手に活用することで、資金繰りをスムーズにし、経営をより安定させることが可能です。この機能を利用することで、必要な資金を即座に手に入れられるため、運転資金や突発的な支出にも柔軟に対応できます。しかし、その一方で手数料やリスクについても十分に理解し、計画的に利用することが重要です。
後払い機能を賢く活用することで、キャッシュフローを柔軟に調整でき、事業運営をスムーズに進めることが可能です。適切なカード選びを通じて、事業の資金繰りをより効率的に管理しましょう。
FUEL 編集部 TAKAHASHI
ターゲットメディア株式会社(2018年入社)運用ディレクター。
広告・マーケティング業界に特化したBtoBメディアの運用責任者を経て
育児のため一時休職。現在は、中小企業向けの情報サイト「FUEL」の運用に従事。